にじいと心理相談室 奈良

    • 2026年6月5日
    • 心の豆知識
    • 職場, 夫婦, 子育て

大人の発達障害

 奈良県生駒市の職場メンタルサポート・心理カウンセリングにじいと心理相談室です。
 大人の発達障害についてご相談をいただくことがあります。仕事がなかなか捗らない、コミュニケーションがスムーズに取れないなど、本人や周囲が問題を感じる状態が続くことは、個人のメンタルダウンや周囲のストレス負荷にもつながります。
 発達障害は子どもの頃から現れるものですが、今回は当相談室でご相談が増えている大人の発達障害についてご紹介します。

生きづらさを感じる大人の発達障害

 カウンセリングで発達障害の方と向き合うとき、わたしは発達障害はその人がもつ特性(個性)と考えています。特性を理解できていなかったり、伝え合い方が不十分なことから、人間関係や作業においてトラブルが起こっている可能性が高い場合があります。
 お互いに理解し工夫を見つけることで、障害(問題)ではなくその人のオリジナルバージョンと捉えることができれば、生きづらさや働きづらさは今よりも楽になるのではないでしょうか。

発達障害とは

 発達障害は、子どもの頃から、特性によってコミュニケーションや作業・動作などに問題(障害)が起こり、本人や周囲が困って悩んでしまうことです。
 発達障害の原因は、脳の機能の問題(扁桃体・側頭葉・眼窩前頭野の機能異常など)と言われ、遺伝や胎児の頃の衝撃など他にも様々な要因が考えられています。
 発達障害の主な特性(種類)を一部ご紹介しますが、特性は人によって異なります。発達障害名だけで決めつけず、個々の特性があることを理解しましょう。

1)ASD(自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害)

 ASDの特性として、①コミュニケーション、②想像力、③こだわり、と大きく3つの特性があるとされています。

①コミュニケーションの特性

・話し言葉(意味やニュアンスなど)がわかりづらい
・言葉以外のメッセージ(表情や声色など)が受け取れない
・あいまいな表現がわかりづらい、など

②想像力(イマジネーション)の特性

・次にどうなるかわからない(予想できない)
・相手の気もちや状況を考えられない
・暗黙のルール(風土、雰囲気)がわかりづらい、など

③こだわり(固執)の特性

・変化が苦手
・自分の決めた方法(マイルール)にこだわる
・ひとつのことをやり続けてしまう、など

 上記以外にも、記憶力(細部まで見たものを記憶)や知覚過敏(音や光などに過敏)の特性などもあります。

2)ADHD(注意欠如・多動症)

 ADHDの特性では、大人になるにつれ子どもの頃より多動性が目立たなくなることはありますが、集中できなかったり、衝動的に行動が抑えられないなど大きく3つの特性をもっています。

①不注意

・ミスが多い
・関心があると熱中するがそれ以外の集中力が続かない
・忘れ物、紛失が多いなど

②多動性

・おしゃべりが多く人の話がきけない
・落ち着きがない(体を揺らす、座ってられない)
・順番を待てない

③衝動性

・考えがまとまらない
・先送りしやすい
・片付けができない、目についたことをする

3)LD(学習障害)

 聞く、話すなど認知機能の習得や活用に問題が起こる特性があります。子どもの頃に目立つことが多く、大人になると軽減されることも多いと言われています。

・読む、書く、計算することが苦手
・筋道を立てて話すことが苦手
・会話が理解できない、長い話が苦手など

 特性は、程度や周囲の環境によって、問題なく過ごせるケースも多くあります。問題がなければ発達障害という枠にはめ込むこともなく、その人の特性(個性)として生きづらさまで感じずに過ごすことができるようになります。どんな特性があるか、まずは理解していくことから始めましょう。
※発達障害の方の中には他のメンタル疾患(うつ病・不安症・統合失調症など)を伴う場合もあります。不調がひどい時は、医療機関への受診も検討してみることをおすすめいたします。

発達障害による生きづらさ

 生きづらさ、働きづらさは周囲との違和感によって起こりやすくなります。みんなのようにできない、自分だけ浮いているなど、特性によってできない・わからないことが周囲にも理解されにくく、人間関係の悩みにつながります。一般的な事例について、工夫を考えてみましょう。

事例1.みんなと合わない、孤立しやすい

【特性の理解】
 コミュニケーションや想像力の特性として、相手の話す意味がわかりづらい表情から理解することが苦手なため、空気が読めない、雰囲気がわからないなどの問題が起こります。また、多動性の特性があれば、自分の話に夢中になってしまい、相手の話を聞けないことや、人の話に割り込んでしまう状況もあるかもしれません。

【向き合い方の工夫】

●本人
・しんどさを感じず楽に聞くことができる時間(10分・30分など)を決め、時間を超えれば場を離れる(ストレス軽減)
・話の内容を知りたいときは、5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どうやって)を相手から教えてもらう
・話過ぎてしまったことを指摘されたときは、特性に気づかせてもらったと捉えることを意識する
・話を聞きながらあいづちを打つ(言語以外のコミュニケーションができると関係性の改善にもつながる)

●周囲
・本人は悪気がないことを理解しておく(不快感の軽減)
・会話はなるべくゆっくりと、整理して伝えてあげる(上記5W1H)
・本人が喋りすぎているときは気づかせてあげる(おしゃべりのクセが出てるよ、ちょっと私の話も聞いて、など)

事例2.時間が守れない、やらなければいけないことを先延ばしにしてしまう

【特性の理解】
 衝動性の特性から、目の前の別のことや他の関心に意識が向きやすくなることや、想像力の特性ではいろいろ考えて段取りができない、全体と部分がイメージできないことがあります。こだわりの特性からも、自分のルーティンを変えられない自分目線のままでいることが考えられます。

【向き合い方の工夫】

●本人
・ToDo(やること)リストを作成し、順番や取りかかる日(時間)を決めて見えるところに貼る
・はじめの一歩(取りかかり)を決め、ルーティンにしていく
 例)PCの電源を入れる、やる仕事の資料だけを机に置くなどスモールステップの行動をとる
・取りかかる前や作業後のプチ休憩を入れる(次へのステップのため気分や頭をスッキリさせる)

●周囲
・指示は一度に多く(全体)をせず、工程ごと(部分)に行う
・口頭だけでなく、メモで伝えたり本人にメモをとってもらう
・ミスや遅延への注意、叱責は感情的に伝えず、やり方の見直しを考える
・できたことは小さなことでも褒める(意欲を持たせる)

 発達障害の特性は、理解しておくことでその人に合わせた工夫を考えることができます。本人が意識と行動をトレーニングしていくことや、環境の配慮、周囲の関わり方によって、問題となっていることは改善解決できることもあります。ひとりで悩みを抱えず、まずは周囲に相談することから始めてみましょう。

まとめ

 発達障害は、その人のもつ特性(個性)によって、周囲や作業において何か問題が起こることで障害となります。
 特性は本人の怠慢や悪意ではなく、脳の働きの問題です。できない、わからないことによって本人や周囲が悩み疲れてしまうことがありますが、個々の特性を理解し工夫することで問題を改善することはできます。
 また、環境によっては活躍するメリットに変えることもできます。デメリットだけに目を向けず、反対の視点からメリットも見つけてみると、その人らしさの個性を活用でき、世界は広がるかもしれません。

 発達障害のご相談では、「なんかわからないけどみんなと違う」「自分だけうまくできない」と、生きづらさや働きづらさを感じる方がいらっしゃいます。カウンセリングでは、わからないことをご一緒に具体的に理解しながら、どんな工夫ができるかを考えさせていただきます。人生はみんなオリジナル。問題から改善・解決のためのオリジナルな工夫をご一緒に見つけましょう。個人の方からや職場のご相談も承っております。ご不明な点などあればお問合せよりご連絡ください。

◎参考
発達障害については、様々な書籍やインターネットでもご紹介されています。国の広報でも取り上げられておりますので参考にしてみてください。
『発達障害って何だろう』 (政府広報オンライン)

悩む心に手を当てる女性

ご予約・お問い合わせ

にじいと心理相談室は、生駒市、奈良市(北西部)、精華町(京都府)のカフェやご自宅、レンタルルーム・職場など、訪問での対面カウンセリングや、オンライン(Zoom)カウンセリングにて対応いたしております。ご利用しやすい環境をお選びいただき、ご相談ください。
※生駒市・奈良市・精華町は、カウンセリング料のみで訪問させていただきます。

ご予約はこちら お問い合わせ