カップルカウンセリングのご相談に最も多くいただくものが『家事・育児にまつわるケンカ』のご相談です。今回は、これまで実際にいただいたご相談を基に想定したケースから、どのようにカウセンリングが行われるか、具体的な事例としてご紹介いたします。
※守秘義務より、実例をそのままご紹介することはいたしておりません。
ケース①:家事育児のことで言い合いになる
◎ご相談者様:共働きで子育て中のご夫婦(夫Aさん、妻Bさん)
◎ご相談内容:家事や育児のことで、すぐ言い合いのケンカになってしまう
・ケンカの始まりは、妻Bさんから夫Aさんへの注意(指摘)から始まることが多い。
・夫Aさんも反論し、言い合いとなることが日常的。
・言い合いが長くなることもあり、お互いにしんどい。
カウンセリングの流れ
今回は、全4回で終結のケースをご紹介いたします。
実際はご相談ごとに、ご一緒に確認しながら決めさせていただいております。
※流れの概要はサイトでもご紹介しております→カップルカウンセリングの流れ
1回目(初回)
初回は、おふたりご一緒にカウセンリングを受けることとされた経緯を確認後、個別にカウセンリングをさせていただきます。カウンセリングの対応例を以下、ご紹介いたします。
◎夫Aさん
直近から過去にあった様々な出来事が語られる。
・Aさんが言葉にはしていないけれど、カウンセラーが感じとったことをお伝えする
→言われ続ける疲労感、否定ばかりの悔しさなど
・Aさんの反応
→何度もうなづきながら、ご自身でもその気持ちを言葉にされる
→少しずつスッキリした表情に変わられる。
◎妻Bさん
夫の性格について不満が語られる。気がつかない、自己中心的、子どもっぽいなど、義母からの影響も話されながら、「しかたないんですけどね」と、繰り返される。
・カウンセラーが受けとめ、お伝えする
→しかたない、けど、Bさんにはしかたないでは済まされないんですね
・Bさんの反応
→お互いの夫や妻、親としての役割が、不公平に感じられている、Bさんの価値観が出てくる。
◎ふり返り
それぞれに今感じられているものをカウンセラーからお伝えし、今後についてご相談。
方向性として、関係の改善を望まれたので、今後のカウセンリングについて、下記のステップイメージをご提案。
①ケンカの根本的な原因についてお互いに探していく
今見えている原因(家事育児のやりかた)→ 根っこの原因(性格傾向や考え方など)
②相手との根っこの違いや同じ点を知る・理解する
③根っこが違うふたりのコミュニケーション方法を考える
2回目
前回以降の近況を確認させていただき、今回のカウセンリング方法をご相談、ご提案します。
・前回から大きな変化は特にない
・今回も個別カウンセリングをメインに、今感じられることをお聴きする。
◎夫Aさん
妻に言われた、『気がつかない点』について、認めている反面、できていることもあるのに全否定されることに納得できない。
・カウンセラーが受けとめ伝え返す
→「できていることだってあるんですね」
・Aさんの反応
→「そうですよ。なのに、そこはとばされて、何もできないって全否定なんです」と肩を落とす様子に悔しさだけでなく、さみしさも感じとられる。
→話をお聴きしながら、できている自分を認めてもらいたい気もちから、反発して言い返すAさんがいることが、ご一緒に見えてくる。
◎妻Bさん
夫の性格傾向について前回同様に話されながら、ご自身は厳しく育てられた過去に触れる。
・話の内容をカウンセラーが整理して伝え返す
→人にはこうしないといけない、家の中ではこうあるべきと教え続けられたんですね
・Bさんの気づき
→こうしないといけない、こうあるべきが、自分の周りにも求めてしまっているところはあるかもと、ご自身の傾向に意識が向かわれる
・カウンセラーが感じたことを伝え返す
→しっかりと、ちゃんとしてないといけなかった、ずっと頑張ってこられたんですね
・Bさんの反応
→少し涙を浮かべられながら「頑張ることは、私には当たり前だったんです」と、本当は家族から優しい言葉や、褒めてもらいたかった気もちが見えてくる。
◎ふり返り
ふたりのケンカの根っこの原因について見えてきたものをご一緒に確認。
・Aさんが言い返してしまうのは、できていることもあることを認めてほしかったこと
・Bさんが細かく指摘してしまうのは、これまで当たり前に頑張ってこないといけなかったこと
お互いに見つけられた共通のものは認められたい気もち。育った環境の違いから、基準、責任感や使命感の違いが温度差としてもあることを、お二人で気づいていかれた。
次回も、引き続き、お互いの根っこについて考えることで終了。
3回目
・前回のあと、ふたりで話し合いもしてみたが、また些細なことでケンカが始まる
・今回は、テーマを決め、ワーク形式のカウセンリングをやってみる
(実際にあった出来事を出していただき、その時の様子をご一緒にふり返る)
◎テーマ:子どもの急な発熱対応の分担について
最近最も言い合いになった出来事として、妻Bさんから提供。内容を、状況や気もち、捉え方で整理。
①状況
・仕事は妻Bさんが休み、夫Aさんは上の子のお迎えに行くことを決めあった
(子どもの体調不良で有休や早退することは、Bさんが多い)
・Aさんは打合せが入り、お迎えをおばあちゃん(実母)に頼んだ
・Bさんはそのことを教えられていなかった
・Bさんは、おばあちゃんから「大変だから、小さいうちは共働きをやめてもいいんじゃないか」と言われた
②気もち
・Aさんは行けなかったことやお迎えを頼んだことを伝えなかったことは申し訳ないが、そこまで文句を言われて腹立たしい。
・Bさんは、夫にも義母にも腹立たしい気もち。
③捉え方
・Aさんは、妻に迷惑をかけたわけではない。母に頼むことは、家族だから普通のことである。
・Bさんは、同じ親の立場なのに、夫は責任を果たしていない。子育てを女性(母親)側だけに責任をもつ時代ではない。休んだり、早退は私がほとんど。公平でない。
◎ワークからの気づき
・Aさんは効率性や実行性を重視していて、Bさんは責任感や姿勢を重視されていることを、おふたりで見つけていかれ、少しずつ、お互いの言い分(理由)について理解され始める。
・特に夫Aさんは、親の責任や、Bさんの仕事観をこれまであまり考えたことはなかったと、今回の出来事の奥にある捉え方・考え方に気づかれる場面もあり、その様子に、Bさんは少しずつ気もちが楽になる様子もうかがえた。
◎ふり返り
ワークが盛り上がり、個別カウンセリングのお時間はとれなかったが、問題を一緒に見つけ、向き合ってていける時間にしていただけた。お互いが、率直に言いあえたこと、その場で相手の話を客観的に聴けたことで、理解の促進や安心につなげられた。
4回目(終結)
・前回後、ふたりで改めて話し合う時間を設けた。
・そのことをテーマに今回もワークを希望。
◎テーマ:話し合い方について
①状況
・朝から夜まで、仕事・家事・育児と時間がないので、話し合う時間がなかった
・でも、ケンカで言い合う時間はあった
・言い合いにならないよう、Aさんはなるべく妻に近づかなかった
・話し合いの場所や時間を事前に決めておくと、落ち着いて話せた
②気もち
・妻Bさんは、時間に追われてしんどい、特にそういう日がイライラして、夫の言動を気にしやすい
・夫Aさんは、妻のイライラな雰囲気を感じたら、また言われるんじゃないかと少し怯えていた
・落ち着いて話すことで、聴いてもらえたように感じスッキリした。
③捉え方
・夫Aさんは、妻はイライラを自分に八つ当たりして解消しようとしている
・妻Bさんは、夫は自分にだけ押し付けて楽をしようとしている、無責任。
・言い合いでは、相手の話は聴きたくないが、話し合いなら聴こうと思えている。
◎ワークからの気づき
・言い合いのケンカでは、お互いに、相手は『~しようとしている』と決めつけも入っていた。
・言い合いを避けようとしていた夫Aさんの行動が、妻Bさんには逃げている、ずるいだけに思えて、余計にイライラさせていた
・妻Bさんは仕事でも溜めこみやすく、帰宅後まで引きずっているときがあった。
・お互いに、話し合いの場は事前に聴く意識ができるが、不意に始まる言い合いはその準備が心にできていないから、聴けないのかもしれない
◎個別カウンセリング(短時間ずつ)
・Aさんからは、妻の話を聴く時間をつくることが必要なことや、自分と妻との家族観がずれているものがあった
・Bさんは自分の中にある「べき思考」を緩めていくことも必要だとおっしゃられた。
◎ふり返り/終結
・状況によって、言い合いと話し合いの違いが出る
・話し合う場の設定の必要性
・改めて、「根っこをお互いに見つけあい、少しずつ認め合えるよう、まずは話し合いの時間をふたりで設けてみることを希望、また必要に応じお願いしたい」との申し出により終結。
カウンセリングでは、お話しをお聴きしながら、根本的な問題(根っこ)やゴール(どうなりたいか)とプロセス(どのように向かうか)をご一緒に考えていきます。今回の事例のように、初回に決めたプロセスは、カウンセリングで全て行わなくても、途中からの気づきや理解が深まることで、おふたりで進まれ、その後確認に定期的にお越しくださるケースもよくあります。
カウンセラーとして目指しているところは、ご自身/当事者が、壁に出会っても、解決していけるチカラをはぐくむ、サポートすることです。
今回のご紹介が、壁に出会われている方に、改善・解決する参考となれば、嬉しく思います。
