にじいと心理相談室 奈良

    • 2025年6月6日
    • 心の豆知識

高齢の親に優しくできない理由

 高齢になる親との関わり方。子育て・仕事と、介護・看護を両立する大変さや、同居だから感じる苦しさ、別居だから不安になる心配事など、悩みの内容は十人十色。今回は、高齢の親(ご家族)との付き合い方や心の動きについて、心理カウンセリングの観点から考えてみたことをご紹介いたします。

1.問題になる要因

 親など、高齢の家族にまつわる悩みは、健康・お金・生活など、様々な場面における問題がありますが、ざっくり考えると、次の2点から生じているように思います。

①可⇒否(できていたことができなくなる
②無⇒有(これまではなかったのに起こる

 運転や家事など、できていたことができなくなり、周囲のサポートが必要になる。温厚だったのに怒りっぽくなったり、何度も同じことを繰り返すなど、これまでになかった問題行動が起こる。

 そんな様々な問題は、本人だけでなく、家族など周囲との人間関係の問題にも発展しやすくなります。特に親子関係では、近い存在だからこそ、割り切ることや手放すことができない心痛が起こります。

2.優しくできない理由

1)時間に追われている

 現役子ども世代は、働き世代。仕事や子育てに日々時間を使う中、親のサポートを行うために時間を捻出することは簡単ではありません。有休や遅刻早退が必要な場面もあれば、やっと取れるすき間時間にも、買い出しや家事を頼まれるなど、自分のための休息時間すら持てないことで、時間も気もちも、ゆとりが持てないことで優しくできないかもしれません。また、時間だけに限らず、サポートにかかる経済的問題も、ゆとりがないために悩みとなることもあります。

2)自分だけが抱える負担感・不満感

 一人っ子の方はもちろん、兄弟姉妹がいても、自分より遠方であったり、長男だから、娘だからと、役割意識から、親の世話をされている方もいらっしゃいます。仕方がないと思えば思うほど、負担感が増したり、他の家族を羨む・恨むような不満感から、その矛先が親に向かってしまい、優しくできない理由になることがあります。

3)これまでの親子関係問題

 もともとの親子関係に問題があった場合、それが親の世話をきっかけに再発することがあります。例えば、幼少期から親の言う通りにさせられてきた、話していてもかみ合わず性格が合わないなど、親に対する不満感や拒絶感が強く、関係性が良くない場合、子どもが成人として自立した際、一旦、親との距離を持てることで関係性が安定することがあります。ところが、再び親との関わりを持たないといけなくなったことで、過去の記憶から嫌悪感・不快感などを再び感じてしまったり、高齢になったことで、親の態度や言動が、過去より悪化したように感じ、優しくできないこともあります。

4)受けいれられない

 親・子、双方にあり得ることが、冒頭の2つの問題(①と②)について、受け入れることができない場合があります。親は、できない自分を認められずサポートを拒む、子は、それくらいまだできるはずと願望からサポートを拒否する。子どもが優しくできないのは、やってあげようとするのに拒まれ、もどかしくなったり、逆に、安易にサポートを要求されているように思え、不満や負担を感じてしまうことがあります。

5)親からの子どもへの依存

 前述の4)と重なるところですが、高齢になった親は、老いた現状の自分を受けいれると、不安やさみしさを感じやすくなります。子どもからのサポートは、心強く、安心できるものですが、中には、それに強く依存してしまうことがあります。過度に相談されたり、何でも任されると、子ども側は押し付けられているように感じるかもしれません。子どもは、安易な要求に思えたり、他の家族でなく自分ばかり頼まれることへ強い不満・負担を感じ、優しくできなくなる理由につながります。

3.高齢の親との関わり方

 優しくできないことで感じられる気もちは何でしょうか。冷たい自分への嫌悪感、子としての義務を果たせていないような無責任感、自責感など、先に感じている不満・負担感に加え、ネガティブな気もちが、心を覆ってしまうかもしれません。
心を少しでも軽くしながら、ゆとりを持てる親との関わり方について考えてみましょう。

1)状況を確認する

 次のポイントを親子で一緒に、そしてお互いの立場から整理してみることをおすすめいたします。体調や環境、気もちの面から丁寧に見直してみることで、受けいれられるようになったり、必要なサポートが見えやすくなります。

・できること/できないこと
・あるもの/ないもの
・したいこと/したくないこと

2)関わり方の見直し

 前述の状況確認を踏まえ、子ども側の関わり方を次のポイントで点検してみましょう

①相談していますか?

 親のできないことについて、決めすぎていませんか?
 できないことの中には、できないけどしたいことも含まれています。
 できないからといってさせないことは、自由や尊重の機会を奪うことにもなります。
 確認してあげるような言い方をすると、親は認めてもらえている安心感を感じやすくなります。
例)家計簿は私がつけるからね⇒家計簿、私がつけようか?

②良いところを伝えていますか?

 全部はできていなくても、できていることも何かあるはずです。否定や失敗の中にある、肯定・成功を見つけて、グッドポイントとして伝えてあげてください。本人の意欲やお互いの関係性にも良い影響になります。
例)味はちょっと薄かったけど、とってもやわらかく炊けて食べやすいね

③ネガティブワードを緩める

 「またやってない」「それ違う」など、出しやすい否定的な言葉を、少し緩めた言葉に置き換えてみてください。他人にどう言われたら素直に聞けそうか、自分に置き換えてみると浮かびやすいです。
例)「また」「この間も」と、過去のことまで含めた言葉は外す⇒今日はまだやってないんやね
  決めつけた言い方を質問の投げかけに変える⇒それは違うんちゃうかな?

④自分の気もちを吐き出す時間をもつ

 整理したり、関わり方を見直しても、すべてが解消や満足になるとは限りません。心に湧き上がる、否定・拒絶・不満・不安など、様々な気もちは、自然なものです。そこを無理に感じないようにするのではなく、そう感じる自分を受けとめることが大切だと思います。そのためには、湧き上がる気もちを、心から出してあげることをおすすめいたします。
・紙に書き出すなど、文字にしてみる
・言葉を誰かに聴いてもらう
 気もちを見える化することは、自分を客観視することにもなり、心が落ち着きやすくなります。また、誰かに聴いてもらうことで、理解してもらえる、受けとめてもらえる安心感や満足感を得ることができます。また、生じている問題について、改善策を一緒に見つけてもらえるかもしれません。親本人にわかってもらいたいときは、第三者(医師・ヘルパー・カウンセラーなど)から伝えてもらうと、理解してもらいやすいかもしれません。

さいごに・・

 本人や周りの意思や願望に関係なく、老化の問題は起こります。私が大切に思うことは、親も子どもも、お互いにどうありたいかを理解しあう、認め合うことだと考えます。親は、できないことが増えたって、やりたい気持ちは持ってていい、子どもは、してあげられないことはあっても、してあげたい気持ちがあればいい。物理的にも、心理的にも、できるかできないかだけでなく、その真ん中のできそうなものを見つけたり、やってみたい・してあげたいことを、お互いに伝えあえるだけでも、心は穏やかになるはずです。私自身も、親の高齢化に直面し、改めて、自分らしく生きることについて、考える時間をもらえているように思います。親が思う生き方と、私が思う生き方、どっちがいいかではなく、それもいいねと受け入れあえる関係を、お互いに少しでも楽に見つけている最中です。
 今回の投稿が、何かひとつでも心を楽に、軽くするお役になれば嬉しいです。

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